犬の肥満と病気について
犬の肥満の判断方法
犬の肥満の基準を知っていますか?と聞かれ、正確に答えられる飼い主さんは多くはないかもしれません。体型は犬種や年齢、遺伝などによって個体差があるため、体重だけをみて肥満かどうかを判断することは難しいことです。犬の肥満かどうかを判断する指標として、BCS (ボディ・コンディション・スコア)というものがあります。これは手のひらで肋骨にどれくらい触れることができるかと、犬を上から見たときの腰のくびれ具合を見て、体型を5段階で評価するものです。例えば、肥満体型であることを示すBCS5は、脂肪が厚く肋骨にまったく触れることができず、腰のくびれ部分はくびれがなく丸みをおびている状態です。このBCSは犬種や年齢などによって個体差がある場合でも比較的容易に体型を判断することができます。
肥満が招く病気
肥満になると、病気を発症するリスクが高くなります。例えば糖尿病や膵炎、尿路結石、関節炎などです。糖尿病は膵臓から分泌されているインスリンの量が少なくなり、血糖値が上がってしまう病気です。糖尿病が進行すると、白内障や神経障害などの合併症を引き起こす可能性があります。また、膵炎は嘔吐下痢と激しい腹痛を何度も繰り返し、全身に強い炎症が拡がってしまう恐ろしい病気です。多臓器不全の合併症を引き起こす可能性もあります。特に糖尿病と膵炎は一度発症すると一生治療をし続けなければならないこともあり、とても怖い病気なのです。さらにある調査結果によると、肥満の犬は適正体重の犬に比べて寿命が短くなるという調査結果も出ています。これはさきほど挙げたような病気を患いやすくなってしまうことが大きく関係しているとみられています。
体重増加の原因は病気?
ただし急激な体重増加の陰には病気が隠れていることもあり、注意が必要です。副腎皮質機能亢進症や肝臓疾患、甲状腺機能低下症、そして循環器疾患などがその一例です。急激な体重増加の他に、元気がない日が続く、食欲が低下した、異常に毛が抜けてしまうなどいつもと違う状態がみられる場合は早めに獣医師に相談してみます。
肥満の改善方法
肥満を改善し、病気のリスクを下げるためには適正な食事量のコントロールが必要不可欠です。食事量を1割程度減らしてみたり、ダイエット用のドッグフードをうまく活用してみることがおすすめです。普段から食事量と健康管理に気を配り、肥満になってから改善するのではなく、最初から肥満にならないよう予防することが大切です。